山田 和三

人が絵を描く理由の一つが、日常からの精神の解放であるとするならば、すべてが利き腕ではない左手で描かれたこれらの作品では、自身の意志と画面に表された結果のずれが、線の力をより強く、熱くささせているのではなかろうか。ここで描かれた無数の線と色彩は、作者の存在そのものを表している。