山田 和三

人が絵を描く理由の一つが、日常からの精神の解放であるとするならば、すべてが利き腕ではない左手で描かれたこれらの作品では、自身の意志と画面に表された結果のずれが、線の力をより強く、熱くささせているのではなかろうか。ここで描かれた無数の線と色彩は、作者の存在そのものを表している。

薄井 隆夫

樹木が空間を占める光景と出会うとき、枝葉の隙間からのぞく背景の断片がことさら美しく見えることがある。

水鏡をモチーフとし、「うつるけしき」と題された作品では、植物と背景は反転して互いの存在を際立たせるように表され、

自然の風景の新たな姿を垣間見せてくれる。

髙松 博仁

地下の巨大神殿にもたとえられる大谷石の地下採掘場跡。

その空気、温湿度、闇とおぼろげな光など、この特異な場の

在り方を表そうとして近年制作を続けてきたという作品群

を前にするとき、

作者がそこで感じ取ったであろう、空間に対する畏怖や美し

さの一端に触れることができるのである。

亀山 知英

廃材によって構成されたものに彩色してつくられる、直立する人の姿をかたどった作品は、それぞれ何かの思考や気持ちを内に宿しているように見える。

彼らが立ち並ぶ空間と向かい合うとき、それぞれの「人物」との刹那の関わりの中で、私たちも、ある感情を想起させられるのである。

二葉 のりえ

特殊なメディウムとアクリル塗料で、美しい多色の色彩が激しくうねるように画面をつくるAcrylic pouring Fluid artの世界。

そこには、日常では目にすることができない豊かな美が描き出されている。それは、私たちの心の奥底にあるさまざまな記憶や感情がもとになった、絶対的な美の姿なのかもしれない。

宮地佑治

宮地 佑治
miyaji yuuji

無数の線が交差して混ざり合い、平面であるはずの画面の中に、人を取り囲む風景を表すような大きな空間がつくり出されている。

さまざまな自然現象を色点の要素に分解することから新たな風景の姿をつくりたいと作者が語る作品の一つ一つが、日々向かい合う現実

の姿からの美しさを伝えてくれる。

1951〜1952 自由美術展
1959 東北大学(文)美学美術史科卒業
1961 第一回個展(東京・櫟画廊)
1964 第六回現代日本語美術展入選
1983〜1986 個展(東京・ギャラリーねこ)
1991 個展(東京・ギャラリーねこ)
1994〜 石井克との二人展
2011 ギャラリーインザブルー個展
2014 ギャラリーファンタジア個展

過去の参加作家

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R293美術展2012

3.1 ~ 3.31

○作家
伊藤 七男
薄井 隆夫
小熊 富江
小倉 孝夫
田沼 真澄
友成  潔
福田 順忠
吉本 義人

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R293美術展2013
2.14 ~ 3.10

○作家
伊藤 七男
稲葉 友宏
薄井 隆夫
太田 丈夫
小倉 孝夫
加藤 亜季
加藤 アキラ
木城 圭美
笹川 むもん
篠﨑 孝司
Daisuke
田沼 真澄
友成 潔
新村 優子
野口 徳雄
安田 奈緒子
吉本 義人

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R293美術展2014
1.29 ~ 2.16

○作家
伊藤 七男
稲葉 友宏
薄井 隆夫
太田 丈夫
加藤 亜季
木城 圭美
下川 勝
Daisuke
友成  潔
野口 徳雄
のだ たけし
浜田 陽一
福田 順忠
山田 稔
山本 渉
吉本 義人

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R293美術展Summer2014
+ワークショップ作品展示
8.13 ~ 8.24

○作家
伊藤 七男
太田 丈夫
野口 徳雄
山田 稔

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R293美術展2015
5.14 ~ 5.28
5周年記念展「私たちは、どういう場所に生きているのか」

○作家
青木 克純
伊藤 七男
稲葉 友宏
太田 丈夫
加藤 亜季
小熊 富江
川辺 雅規
川連 里美
木城 圭美
坂井田 武志
下川 勝
友成 潔
新村 優子
野口 徳雄
のだ たけし
浜田 陽一
福田 順忠
山田 稔
吉本 義人

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R293美術展2016
5.21 ~ 6.5
「ただいま発生中!」

○作家
青木 克純
石井 克
伊藤 七男
太田 丈夫
小熊 富江
加藤 亜紀
川連 里美
坂井田 武志
谷口 直之
野口 徳雄
のだ たけし
浜田 陽一
山田 稔
吉本 義人
フラワーヴィレッジ(レセプションライブ/演奏)

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R293美術展2017
5.13 ~ 5.28
「漂泊-対話」

○作家
青木 克純
石井 克
太田 丈夫
小熊 富江
加藤 亜季
坂井田 武志
浜田 陽一
山田 稔
吉本 義人
フラワーヴィレッジ(レセプションライブ/演奏)

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R293美術展2018
5.12 ~ 5.27
「両毛の目」

○作家
青木 克純
石井 克
太田 丈夫
小熊 富江
加藤 亜季
浜田 陽一
宮地 佑治
山田 稔
吉本 義人
艱難辛苦(レセプションライブ/演奏)

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R293美術展2019
5.11~5.26
「再起動」

○作家
青木克純
石井克
薄井隆夫
太田丈夫
小熊富江
加藤亜季
亀山知英
髙松博仁
のだたけし
宮地佑治
山田稔
吉本義人
艱難辛苦(レセプションライブ/演奏)

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R293美術展2020
「12の有機体」

○作家
石井 克
薄井 隆夫
太田 丈夫
小熊 富江
亀山 知英
髙松 博仁
のだ たけし
二葉 のりえ
宮地 佑治
山田 稔
山田 和三
吉本 義人
艱難辛苦(レセプションライブ/演奏)

谷口 直之

2005 栃木県窯業技術支援センター卒業
2006 第16 回工芸美術日工会展入選 東京都美術館 以降毎年入選
2009 日展入選 国立新美術館
2011 日展入選 国立新美術館
2012 日展入選 国立新美術館
2013 日展入選 国立新美術館
2014 日展入選 国立新美術館
第4 回宇都宮の美術現在展 参加 宇都宮美術館
2015 第1回栃木県版画展 参加 奨励賞受賞 栃木県総合文化センター
第32 回長三賞常滑陶芸展 参加 入選 愛知県陶磁美術館ギャラリー

過去、現在、未来へと連綿と続く時の流れのかたち。 躍動する、土による造形のリズム。 モノと人と自然が互いに共鳴し合い、響き合う、 豊かな交響空間を創り出したい。

http://naoyukiceramics.blogspot.jp/

石井 克

石井克 Katu Ishii

1972 自由美術展 佳作作家 雲愛光賞受賞
1984 ~ 1994 東京展 奨励賞 東京展賞受賞
1987 「生きること描くこと」出版 国土社
2005 「表現と自立」出版 莖書房
2006 カエルの豆太 舞台美術 群馬中芸

森の中の朽ちかけた樹木。生を終えようとしている存在に苔が生え、さらに芽吹こうとしている光景のイメージをもとに、版や

コピーでベースをつくり、そこにパステルで線や色彩が加えられている。その画面は、いずれもやわらかな光を内に含み、「死」

から再生する「生」の姿を感じさせてくれる。

小熊 富江

鮮明な色彩の中にペインティングナイフによる線で描かれた犬や猫たちの姿。

背景では、さまざまな色が互いを織り込むようにして、奥行きのある空間をつくり出している。

「空」と題されたこれらの作品は、作者が日々向かい合っている光景だけでなく、その心の内も表しているように思われる。

 

1977〜83 五島不二世先生に油絵を学ぶ
1977〜83 Seiju Art Exhibition 佐野市文化会館
1989 個展 佐野市文化会館(立体造形作品)
1990 個展AZギャラリー 南青山(立体造形作品)
1991 南青山ギャラリー 南青山(立体造形作品)
2012 R293美術展 佐野市文化会館(立体造形作品)